貧乏国日本

 

 いささか腹がたったことがあるんだけれどね。

ある私立の女子中学校で、悪い不良っぽい女の子が何人か、学校の中でタバコを吸った。

それがバレて、叱られて「しばらく家で反省しろ」っていうわけで、自宅謹慎の処分にされた。

こんな事は当たり前の事なんだけれど、所が、文部省だか教育委員会だかが、義務教育で自宅謹慎というのはいけない。それは先生の教え方がよくないから悪い行動をする生徒が出て来る。もっときちんとした教育をしろ。(笑声)

まさかそれ程でもないだろうが、学校側が怒られちゃったらしい、というわけで自宅謹慎は取消し。

呆れて話にならないよ。

恐らく親が区会議員か都会議員、場合によると国会議員に頼んで、議員から教育委員会に圧力がかかり、それが学校にはね返って来たという訳なのだろう。

これじゃあ教育もヘチマもないよ。

こんなことやってたら恐らく日本の教育は、あと20年もすりゃあメチャメチャだ。

とにもかくにも、今の日本では先生が一番貧乏クジだ。

歯医者の大学の先生が国家試験の問題を内緒に学生に教える。

裏口入学で入った出来の悪い学生ばかりだから、教えなけりゃあ、みんな落っこって、そんな学校に学生が集まらない。

学生が来なけりゃ月謝が集まらない。大学つぶれちゃう。だからインチキでもいいから国家試験の合格率を高くしようなんて大学の経営者は考える。

 

 それから、今、高校途中退学が数パーセント位もあるって問題になってるね。

以前から「15の春を泣かすな」なんて「生徒を希望する高校に入れてやれ。それが出来ないのは中学の先生に熱意がないからだ」といった調子、今度は「高校で大勢やめちゃうのは高校の先生の教え方がよくない」なんてどこまでも子供の味方をする。

冗談じゃない。日本の高校の先生方はとても条件の悪い中で、よく頑張っておられると思うよ。

勉強ぎらいなんかで高校やめちゃう生徒、アメリカなんかじゃあどのくらいいると思う。

え? 5パーセント位? 桁が違うよ。何? 50パーセントだって?(笑声) そんなに多くないよ。30パーセントだ。つまり、約3人のうち一人は中退だ。

 

 所で何でこんなに大騒ぎして中学や高校の先生の悪口言ってんのかね。

理由は簡単さ。日本は貧乏国だからだ。

いやそんな事はない、日本は金持だ、世界の国の中でアメリカの次が日本だなんてデマに引っ掛かるなよ。

とにかく日本は貧乏だ。だから税金がすごく重い。

外人が呆れてるそうだ。日本人は何であんなにたくさん税金取られて、おとなしくしてるのか分からん。うちの国だったらとっくに内乱騒ぎが起きちゃってるってさ。(笑声)

先生だってそう思う。何十人か仲間が集まったら、大蔵省に乗り込んで火をつけて来てやる。そうして、一番先に逃げて来ちゃう。(笑声)

まあ、こりゃオーバーだけど、実際に、税金に四苦八苦して一家心中をしちゃうと言う事件もよくある、と言う訳で自分が歳を取ったら、惨めな目に会いたくない。

だから、子供にはいい学校を卒業させて、偉くなってお金沢山稼いで貰いたい。少しは悪い事してもいいから。(笑声)

だからあのロクデナシの先公なんかに子供預けとくと、ろくな学校にしか入れない。

バカでも忽ち天才にしてしまう、手品使いのような巧い先生に教えて貰いたい。しかもタダで。(笑声)

お互いに貧乏てえ物は、何ともはや、辛いものですわな。(笑声)

 

<脱線千一夜 第8話>   


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