大爆発
チラノザウルスとかステゴザウルスとか言った恐竜達が、地球上をわがもの顔に歩き回っていたのは、大昔の事だが、ある時に突然その恐竜達が全滅して、その代わりに人間のような哺乳類の地球になったと言う事については、昔から、いろいろな説があった。
１、太陽の活動が鈍くなり、地球の温度が寒冷化して、恐竜のような爬虫類、つまり冷血動物は体温が低くなって死んでしまった。
２、哺乳類が増えてきて、恐竜の卵を食べちゃった。（笑声）
３、花の咲く植物が増えてきて、草食恐竜の餌になる植物を、減らしてしまった。
そのほかにいろいろな説があるが、今、一番正しいと思われているのは、彗星衝突説だ。彗星衝突説を知ってた者、どの位いるかな。結構、大勢知ってるね。
以前、ハレー彗星が地球に近づいて来て、衝突するんじゃないか、と、大騒ぎになった事があったそうだ。
太陽系の中には、水金地火木土天海冥と九個の惑星が回っているが、問題はこれ以外の小惑星や彗星だ。
小惑星は、昔、火星と木星との間にあった惑星が、何かの理由で爆発してバラバラになったと言われる。木星の引力で崩れたって説もある。始めからそんな星はなかったという説もある。（笑声）
星を作れるくらい細かい破片はあったらしいが。とにかく、この破片が宇宙に散らかって、中には太陽に引き寄せられて落ちて燃え尽きたのもあるだろうし、木星や土星のように大きくて引力の強い星に落ちたのも相当あっただろう。
だけど、運良く、どこにもぶつからないで、いまだ宇宙を飛んでる奴が、沢山いるんだ。
我々にとっちゃあ、大迷惑だけどね。
形はと言うと、細かい破片だから、四角い板みたいな物や、棒形、半球型、いろいろあるらしい。
勿論、沢山あるから、未発見の物も多い。
困った事に、この宇宙のゴミみたいな奴ら、小惑星でけでなく、太陽系の外側ギリギリ位の所に彗星が沢山飛んでる。
こいつらが、何かの調子で、エネルギーを失って、落っこって来る。
こういった小惑星や彗星達は、いつ地球に衝突するか分からない。
木星だか土星だかのある衛星では、この大きい奴にぶつかって、幸いにバラバラにはならなかったけれど、ど真ん中を突き抜かれて、飛び込んだ所と抜けてった所に大きな跡があるそうだ。（笑声）
さて、こんな奴が地球に落ちて来たらどうだろう。
俺に当たらなけりゃあ平気だなんてノンキなこと、言ってられないぞ。
大地震で高さが何キロメートルもある大津波が起きる。逃げようったってオリンピック選手でも間に合わない。（笑声）
そうして空に吹き上がった砂や煙は、太陽の光を遮って地上は何ヵ月も暗黒の世界が続く。なにしろ、原水爆何万発と言ったエネルギーだからな。
これは実際にあった事なんだ。メキシコの海岸に、今から七千万年位の昔、直径何十キロメートルの小惑星が衝突した。
この時よりも前を白亜期、この後を第三期って言うんだが、白亜期の地層には、沢山の恐竜の骨が化石になって残っているけど、第三期には全然ない。
そうして、この、白亜期と第三期との間にはＫＴバウンダリーと言う１センチばかりの薄い粘土の地層があるが、このＫＴバウンダリーの粘土を調べたら、地球ではとても珍しい元素のナントカチュウム（笑声）って奴がものすごく沢山含まれていたって訳だ。
つまり、このナントカチウムを多く含くんでる小惑星が、地球に落ちて来て大爆発をした時に、粉々になって吹き飛び、そのナントカチュウムを含んでいる灰が、地球上にふりまかれたんだろう。
じゃあその頃、人類の祖先は何してたんだろうね。
小さいネズミ位の動物で、恐竜達は、この天気のいい所は俺達の縄張りだ。あっちいけ。ゴミどもめ。（笑声） てなわけで、爬虫類にとっては住み易い熱帯や温帯から追い出されていた。
住める所は亜寒帯や寒帯で、初めはなかなか大変だったろうけれど、やがて、自分で自分の体温をコントロール出来るようになった。
何百万年も何千万年もかけてだよ。
このように、体温を自分で調節出来るようになった温血動物が、小惑星の衝突で吹き上げられた煙で地表が冷え、凍えて死んでしまった恐竜に代わって、地球の主人公になった訳だ。
つまり、いじめられていた者が、環境が替わると、次の主人公になるって言う例だ。
だから、この小惑星がぶつかって、大爆発をしたから、今の我々がいるんで、もし、スレスレで地球にかすりかけた位で、衝突をしなけりゃあ、人間なんか現れずに、地球はそのまま、恐竜達の天下だ。
何千万年もたつうちには、恐竜達もそれなりに、頭脳が発達し、大文明を作り上げただろう。
どうだい、恐竜の先生だとか、恐竜の総理大臣だとか、恐竜の宇宙パイロット、恐竜の天才少年、恐竜のいじめっ子だとか、恐竜の歌手や俳優や恐竜の国際的美少女、（笑声） 恐竜のポルノ女優なんてのも考えられるナ。（笑声）
＜脱線千一夜 第１２話＞
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