素直な犬

 

 この間、聞いた話なんだが、とてもいい犬のことだ。

いい犬といっても、名犬でドッグ・ショーに優勝したなんてもんじゃない。普通のごく当たり前の犬なんだ。

わりと大きい犬でシェパード位の大きさはあったらしい。

その犬が、そこのお家のご主人と散歩するとき、ご主人が引きずられる位、強く紐を引く。とにかく元気がいい。

じゃあ奥さんが散歩につれていく時はどうかと言うと、ここが問題だ。

普通の犬は相手が強いと卑屈になるし、相手が弱いと見ると調子に乗って勝手な事をする。

「強きを助け、弱きをくじく」なんてどっかで聞いたような事になる。(笑声)

所が、つまりご主人が散歩の時は、ぐんぐんと紐を引っぱるような元気を出す犬が、奥さんが散歩させる時には、紐が垂れ下がる位、ゆっくりと歩いていくそうだ。

つまり、旦那さんの時は、一緒に元気よく歩き、奥さんの時は奥さんに合わせて、ゆっくりと歩く。これには感心したね。

 

 人間にも、頭のデキがこの犬以下の奴が相当いるな。

相手が、うるさい、おっかない先生の時は、仕方ないから大人しくしてる。

相手が、あまりおっかなくない先生の時は、本性を現して、調子に乗って騒ぎ出し、注意されても聞けばこそって言うことになる。

こんな奴にはその犬の爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいな。

どうだ。この組には、犬の爪の垢が必要な奴いるかな。(笑声)

 

 それから、大事な事だけれど、日本の小学校と中学校の義務教育はほかでもない、日本の国がやってるんだ。

そうすると、その義務教育の時に、騒いだり、おしゃべりしたりして、先生はもとより、ほかの生徒が勉強してるのを、邪魔し妨害するのは、コレスナハチ日本の国の敵、つまり国賊だ。(笑声)

と同時に、日本の国の国民の団結のシンボルである朝廷に刃を向ける者、つまり朝敵である。(笑声)

先生は愛国心に燃える熱血漢であるから、このような「国賊」や「朝敵」はただじゃあおかないぞ。叩っ殺しちゃうからそう思え。(笑声)

何が暴力教師だ。生徒を殴ったら暴力教師だけど、国賊をこらしめるんだから、西郷隆盛や坂本竜馬と同じ愛国の志士だ。

いずれ、偉人伝の中に書かれるぞ。(笑声)

 

<脱線千一夜 第13話>   


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