ラッコ族

 

 高校には、男子校、女子校、共学高とあるが、男女共学の高校では、誰は誰、誰は誰ってな具合に彼と彼女が決まっていて、朝から帰りまでネチョネチョとくっついている事がある。(笑声)

この間、松本に行った時に、電車の中で千葉県の高校の修学旅行生と一緒になった。

その時に、男の子と女の子と抱き合っている。四人がけのボックスに二人だけだ。

前の席の者はあてられちゃって逃げちゃったらしい。(笑声)

ああいうのをラッコ族っていうんだって聞いた事がある。ラッコが貝を抱えて食べてるのによく似て、相手を抱えて離さない。(笑声)

 

 見かけだけで人間を判断出来ないけれど、二人ともたいして魅力的な子じゃあない。

ああ言うのは、チャーミングじゃあなくって反対のミーチャングだ。(笑声)

こういった事は、高校に多いし、時には中学にもある。

じゃあ、その二人が本当に好きで、お互いの人格を尊重し合ってるんかって言うと、これが違う。

本当に好きで愛し合ってるならば、将来、結婚してからのいろいろな計画を相談してるかと思うと、そうじゃぁない。

何? 恋愛と結婚とは違う。(笑声)

なるほど、じゃあ自分はそれでいいだろう。

あっちの子、こっちの子と次から次へとラッコごっこやって、(笑声) 結婚は別の人にする。

こりゃあ、本人はそれでいいだろう。

だけども、自分の結婚する相手が、今まで、次から次へと相手を替えては、電車や公園でラッコごっこしてたって、友達の間で有名、近所でも知らない者なし、あの子はすげえ発展家だって評判でもOKするかね。

ラッコだかダッコだかで有名でもさ。(笑声)

古い見方だって言うかもしてないが、先生の考えでは、いいおもちゃを持って、みんなに見せびらかしてるような感じだよ。

自分はみんなと違って、すてきな「彼女」または「彼」がいるんだぞ。

どうだい。うらやましいだろう。ヤキモチ焼ケ焼ケ!(笑声)

と言うような気持ちだから、自分が男の場合だとすりゃあ、相手の女を、かっこいいオートバイやスポーツカー、自分が女の場合なら、相手の男を、きれいな洋服や靴としてしか考えてないんだ。

つまり、相手の人格なんか関係ない、ただ第三者への見せびらかしの道具としか見てないんだ。

だから、ラッコごっこやってた二人が、卒業しちゃうと、もう、うらやましがってくれる、友達がいなくなっちゃう。

結婚したら、どんな二人だって、ただの亭主とかみさんだから、みんなの前で見せびらかすなんて訳にはいかない。

以前、何かに出てたけど、高校の時に、美男美女のペアでみんながあこがれるような二人が結婚して、さぞ幸せだったろうと思いきや、こんな筈じゃあなかったって訳で、お定まりのコース、不倫だとか暴力だとか、最後は警察のお世話になり、新聞種になってしまったってのがあった。

全く、相手の人格を考えなかったからだよナ。

 

 まあ、とにかく、人の目があるから、くだらない事はやめろよな。

ラッコは水族館だけで十分だワサ。(笑声)

 

<脱線千一夜 第24話>  


前へ戻る
メニュー
次へ進む