猿から人間に

 

 人類は哺乳類であり、幸か不幸か小惑星の衝突で、恐竜が全滅した後を生き残ったと言う事は、話したね。

でも、哺乳類と一口に言っても、ピンからキリ迄ある。

これは、一つの説だが、ある時、猿の中に弱いグループがあった。

弱いから、森の中でほかの猿にいじめられる。

そうかと言って、草原に出れば、ライオンや虎、おおかみなど、強い肉食動物がいる。どこに行ったらいいだろう。

え? もっと高い山に行く、なるほど、でも高い山じゃあ何を食ってくんだ。そんな所じゃあ、苔や、万年雪しかない。

のどが渇く事は無いだろうが、生きてく事は無理だろうな、何? ヒマラヤの雪男がいるって、(笑声)

あれは遭難しかかった者の見た幻だろうよ。

考えても見ろ。雪男だけで、雪女がいなけりゃあ、どうやって子孫を残せるんだ。(笑声)

てな具合で高い山はあまり良くないって言ったら次はどこだ。

え、地面の中、(笑声)  まるでモグラだなあ。

ほかには意見無いか。うん、海岸ね。そうだね、海岸に逃げて来たらしい。

そうして、砂浜や荒磯とあっちこっち逃げ回っていたのだろうけど、理科の時間に習った勉強で水の中に入ると軽くなるってのがある。

何て言うんだ。そう、アルキメデスの原理って言うな。この原理で海に入れば軽くなる。

だから、陸上のように四本足でなくても二本足で立つ事が出来た。後足で立って、前足で貝等をとる。

今度はその堅い貝殻の中から貝の身を出さなきゃならん。

だから、前足を使って、ラッコみたいに、いろいろとやったんだろう。

こんな事してるうちに、海で覚えた二本足歩行が、陸上でも使えるようになる。

後足の二本がほかの動物の四本分の働きをするんだから、前足の二本を使っていろいろとワルサを始めた。(笑声)

ワルサと言えば 君達と同じだ。棒をふりまわす。石を投げる。堅い石をとがらして槍を作る。

となると、今迄は人間をいじめていた猿なんか、物の数じゃあない。その上に、火迄使って、虎やライオンやマンモスなんかと戦えるようになった。

でも、この素晴らしい二本足歩行ってのは、人間が初めじゃあない。

昔、爬虫類の全盛時代にも、チラノザウルスのような巨大肉食恐竜も二本足で立ってた。

所が彼らは、幸か不幸か口がものすごく発達して、手の方はむしろ退化しちゃった。

この点、海岸でほそぼそと貝など取って暮らしていた人間の方が、有利だったんだろう。

哺乳類の時代に比べて爬虫類の時代は何倍も長かったんだが、冷血動物だったから脳の進歩が遅れた。

その頃の地球の気候や植物の茂り具合にに合わせて恐竜の体は作られていて、大きくなればなるほど、体温は一定するって訳で、巨大化の一方をたどったのだと言われている。

 

 さて、このように四本足歩行から二本足歩行になり、火や道具を使って他の動物に勝った人間は、今は化石燃料と言われる石炭や石油を使い、さらには、原子核分裂エネルギーすら利用し、地球の衛星である月に迄、その足跡を残せるようになった。

では、これからの人間はどのような歴史を作って行くのだろうか。と言うと、これは悲観的な未来観が多い。

人間の滅亡は、遅くても21世紀前半、早けりゃ今日か明日、(笑声)

冗談じゃあないぞ。原水爆を使った大戦争がまず考えられるし、そればかりじゃあない。

人間が進化してるのと同じように、他の生物だって進化してるんだ。

例えば、エイズのウイルスが、今の百万倍も強力になって、インフルエンザ・ウイルスのように、空気伝染したら今の人類、それで一発だ。

あと、小惑星や彗星の衝突だって考えられる。

人間、この大衝突に会う可能性は、ある学者の計算によると、航空事故に会う可能性とほぼ同じであるそうだ。

又、原子炉の爆発で世界中に放射能の灰が降って、その放射能を浴びて全滅する事も考えられる。

オゾン・ホールの拡大による紫外線もそうだし、ダイオキシンなんてのもあるし、二酸化炭素の増加による気温の上昇とか、どう考えても悲観的な未来ばかりだ。

だから、このようにして人類が滅んだら、その後の地球はどうなるのだろう。

動物には、沢山の種類があるんだから、その中には、放射能も紫外線もへっちゃら、エイズ・ウイルスなんてどこ吹く風と言った物が忽然と現れ、地球を支配するだろうな。

今、恐竜博物館があるように、大昔の地球に住んでいた人間についての人間博物館ができたり、「おろかしい人間たち」なんて言った勉強マンガの本が売れてるかもしれないよ。(笑声)

 

<脱線千一夜 第29話>  


前へ戻る
メニュー
次へ進む