架空取引

 

 「架空取引」なんて言葉が、たまに新聞に出てる事があるが、そもそも「架空取引」ってのは、何だい?

ウン、「ウソ」の取引か、じゃあ、何が「ウソ」なんだろう。

「取引」ってのは、つまり「買い物」さ。

君達が、お店で買い物をする時には、四つの事が必要だ。

例えば、鉛筆を買う時には、

第一……売り手、これは、文房具屋さん、

第二……買い手、これは、君達の誰か、

第三……商品、これは、この場合は鉛筆

第四……代価、まあ、百円とでもするか、高いって、じゃあ一円(笑声)

 さて、このどれが抜けたら架空取引になるんだろうね。

取引には、どうしても、この四つが必要なんだけど、架空取引とは一体何の事だろう。

別の例を考えよう。

君達が、お母さんに、どうも数学の先生は教え方が下手で何を言ってるのかさっぱり分からないから、参考書買うんで千円お金おくれって言う。(笑声)

お母さんは、しょうがないね。もっと分かり易く数学教えてくれりゃあいいのに、困ったバカ先生だ。なんてブツブツ言って千円くれるが、さあ、その千円で参考書なんか買わないで、友達と交渉してファミコンの中古ソフトを買っちゃう。(笑声)

これは、本当の取引だ。売り手は友達、買い手は自分、商品は、ファミコンのソフト、代価はお母さんからチョロまかした千円。

そうして、お母さんが、あの買って上げた数学の参考書どうした、って聞いたら、時間中に見てたら、先生に見つかって取り上げられちゃった、なんてごまかす。(笑声)

さて、中古ソフトの商品取引に比べると、数学の参考書は、まさにインチキその物だな。売り手も買い手も商品もなし。

あったのは、お母さんだました千円だけど、これは中古ソフトに化けちゃった。とすると、これは架空取引なんて体裁のいいもんじゃぁない。

つまりは、横領だな。お母さんをだまして千円を自分の物にしちゃった。だから、架空取引なんて体裁のいい事が新聞に書いてあるけど、勿論、横領だし、はっきりいやぁ泥棒だ。

所が新聞はそうは書いてない。何故かな。そうだ、そのお金が政治家の方に流れているからだな。

だから新聞もウカツな事は書けない。外国人達は呆れているらしいが、日本人位「長い者には巻かれろ」といった主義の国民は世界のどこにもいないそうだ。

ウカツな事を発表して政治家に逆らうと、どんなしっぺ返しされて、会社を潰されるか分からない。

だから新聞社は、いつでも権力の側について、国民の世論を誘導する仕事をやっているんだ。マインド・コントロールって奴だな。

前にも、ジャンボ・ジェットのインチキ修理の事、話したな。知っていても、その通りには書かないで、ごまかしをやるのさ。

だけど、外国人も日本の新聞読むからね。あんまり、ウソばかり書くと、なんだ、こりゃ、日本の新聞はウソばかりでメチャメチャだって事になるから、玉虫色、つまり赤にも青にも黄色にも見えるような書き方をする。

そもそも「架空取引」と言う日本語は、あるかどうか広辞苑で調べた。思った通り無かったよ。(笑声)

新聞記者達は、政治家に遠慮するあまり、新しい日本語迄作っちゃった。ますますもって、国語の勉強はたいへんになる。(笑声)

 

 日米戦で、日本がアメリカに負けた時に、新聞では「降参」とか「敗戦」とか書かないで「終戦」と言った。

これも、「降参」や「敗戦」では、いかにもみっともなくって、かっこが悪い。権力者側が国民から責任を追求される恐れがある。

「終戦」とやって、何となくあいまいにする、って言うのが時の権力者達が選んだうまい言葉だ。

アメリカ軍は日本を占領してんだから、当然、占領軍なんだけれど、これを「進駐軍」と呼んだ。

「進駐」ってのは、やって来たって事だ。

何をしに、やって来たんだろう。京都や奈良や日光を見物に来たのか。(笑声)

戦争犯罪人と言う名目で、何千人の日本人を捕まえて死刑にして、日本国中にアメリカの軍事基地を作りに来たんだ。

 

 まあ、とにかく、こんなごまかしにひっかかるなよ。

試合をやった後で「どうだった」と聞かれて、なんて言うか。

「勝った」か「負けた」だろう。「終わった」って言うか。(笑声)

 

<脱線千一夜 第31話>  


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