セクハラとお酒

 

 これはある新聞に出ていた投書だけど、ちょっと一部分を読んで見る。投書した人は女の先生だ。

 

 学校の忘年会の旅行である温泉に行き、宴会が始まって間もなくのことだった。ある中年の教師に「今日のアンタは学校と違って色っぽいね。いつもアンタは男以上の仕事をしていい気になってて迷惑だ。大体オナゴは男に酒をついで回ればいいんだよ。アンタは生意気なんだよ。今晩は俺達でゴウカンしてけるよ。」と言われた。(笑声)

それから、ゆかた姿でだらしない格好で飲んでいる男の先生にお酌させられたり(笑声) 若い男の先生も又それを当然のようにしているから、涙が出そうになった。

私はこの時から、もう学校の旅行には絶対に行くまいと決心をした。

 

 という事だが、この女の先生、年を見たら「五十歳」(笑声) いや、この事件は十年ばかり前のことと書いてあったから、その当時は若々しくきらびやかな御令嬢だったのだろう。(笑声)

サテネ、この投書からどんな事を思うかね。

え? 先生なんてスケベッタラシイ。(笑声)

もしこれが本当の事実ならね。

だけれど、先生は今迄いろんな学校を経験したけれど、こんなバカげた話はあってたまるもんか。

先生なんか人が善いから、女の先生いじめる所か、女の先生にいじめられてばかりいる。(笑声)

何? その女の先生は先生が好きだから面白がってカマってるんだろうって。(笑声)

だとすれば光栄だがな。

 

 ま、とにかく歌の文句じゃないけれど、日本という国はまず女から出発している。

君達の家で神棚を飾ってある家はどの位あるかな。

成る程。以前から大分減ってるけれど、あの神棚の中の真ん中のお札は何か知ってるかな。

そうだな、「天照皇大神宮」で天照大神(あまてらすおおみかみ)と言う太陽の神だ。

日本で一番偉いとされているこの神様は女で、又、中国の古い本に出ている、日本のヤマタイ国もヒミコと言う女王、だから日本は女で夜が明けたって言う訳だ。

ちょっと話がそれるが、ドイツ語やフランス語には名詞が男性と女性と区別されていて、ドイツ語では太陽は女性で月が男性、何故かフランス語では反対で太陽が男性で月が女性になってる。つまり、日本語はドイツ語系かも知れない。

ヨーロッパも昔になると、太陽の神はとにかく、一番偉いのは雷の神で、神々の父といわれるゼウス。

ゼウスについては君達も知ってる者が多いだろうが、とにかく女好きで助平この上ないってシロモノだ。(笑声)

神々の父という自分の立場を悪用して、白鳥とか金の雨とかに変身して、若くて綺麗で可愛いい女と見たら片っ端から……よそう。(笑声)

ま、こんな徹底したセクハラってないな。だから家では奥さんのアテネには、頭が上がらなかったと言われてるが。

 

 そこで、前の投書に戻るが、以前にもこの新聞は学校じゃ有り得ないようなウソを書いて、先生達をけなしてる事がよくあった。

その時の校長先生がこれを読んで「全く困りますねえ。私たちが一生懸命にやっていても、新聞がこんなぶち壊しをやっちゃうんじゃ」なーんて言っておられたけど、先生の悪口書くと、それを読んで面白がる連中が大勢いる。

つまり、自分達が小学生、中学生の時に先生に怒られて、先生に対して恨み骨髄に撤している読者が大勢いる。

「ソーダ、ソーダ。先公なんて教室じゃ、デケエツラして、えばってやがって、その実、すげえスケベで、可愛いい顔してる女ばかりホイホイしやがって」(笑声)

実際は自分がおかしな顔してるからヒガんでんのさ。(笑声)

読者を面白がらせる記事を新聞記者は必死で探している。というのは、新聞が売れなくなれば自分達は失業者だ。だから、何とか読者のご機嫌を取り結んで、新聞を買ってもらおうとする。

先生達の悪口が出りゃあ、ホレ見た事か、先公なんてみんなこんなもんだなんて、読者はいい気分になる。

大いに新聞を買ってもらって、月給が上がる。いい自動車に買い換えられる、マンションの金も払える。

新聞買ってもらえなけりゃ会社潰れて失業者になっちゃう。

だから、見栄も外聞も無く、平気でウソ書くけど我々は大迷惑だ。

 

 それから、一歩譲ってある程度この話に近い事があったにせよ、この原因はセクハラと言うよりお酒だな。

日本人は、とにかくお酒に対して寛大で、何かヘマをやっても、あれは酒の上の事だからと簡単に許してしまう風潮がある。

お酒なんか決してうまいもんじゃあない。

お酒に強い人の中には、さんざんお酒を飲んだ後、ご飯にお酒をかけて「お茶漬け」ならぬ「お酒漬け」にして食べたなんていう豪傑もいたそうだが、そんな人はまれだ。

君達の中にも冠婚葬祭の折りに少しはお酒を口にしたことのある者は知ってるだろうが、サイダーやジュースの方がよほど口当たりがいい。

それなのにお酒を飲むのは、気分が良くなるからだ。

昔から「酒は飲むべし、百薬の長、酒は飲むべからず、百毒の長、飲んでよいやら悪いやら」という歌なんかあり、人が酒を飲むのじゃ無くって、酒が人を飲んだらそれで終わりだ、なんて言われてるけど、酒が人を飲むってのはどんな事だろうね。

お酒を飲み過ぎちゃって人間がガラッと変わってしまう事を言うのだろう。

つまり、意志が弱いと言う事だ。酒を飲んで気分が良くなると、自制心が無くなってしまって、もうちょっと飲みたい、もっと飲みたいと際限無しになっちゃう。

植木等の歌に面白いのがあるな。「ちょいと一杯のつもりで飲んで・・・・」って言うんだ。(笑声)

知ってる者、手を上げて。なんだ、みんな知ってんのか。(笑声)

これはずいぶんと古い歌なんだがな。

この植木等は日本一の無責任男、酔っぱらい男の典型になってるが、その実、とても真面目でお酒は全然飲めないらしい。

俳優と言う商売で、無責任な酔っぱらい男を演じてるだけなんだ。

まあ、この歌のように駅のホームのベンチでゴロ寝する位なら、心配して待ってる家族はとにかく、他人には迷惑をかけないからいいような物の、やけにしつっこく絡んできて喧嘩をおっぱじめたり、オートバイや自動車を運転して大事故を起こしたりする。

とにかく自制心が大切だ。

 

 昔、先生が若かった頃、(笑声)

笑うなヨ。(笑声) その頃だけど、PTAの送別会か何かの残りで、けっこうお酒があった。

それを若い先生達にくれたんで、クラブ活動の後なんかに、残っていた連中で飲んじゃった。

いい気分になって、さあ帰ろうとした時に、先生よりか幾つか年上の先輩の先生がふざけて「ヤッ!」と言って空手のようにして教室のドアのガラスを叩き割ってしまった。

ハッと思った先生がすかさず「ヤメロッ!」って怒鳴って、その先輩の先生の横っ面を力いっぱいに張り飛ばした。

相手は体育の先生で大柄でがっちりしている人だから、喧嘩になったら骨のニ、三本折られる位は覚悟してたんだがね。

でもその先生は「ウーイ」と言ってそこに座り込んで「今日は少し飲み過ぎてホッペタが痛てえや。誰か水持って来てくれ」(笑声) なんて、冗談にしてくれてホッとしたね。

その先生とは一生の付き合いで、その頃の仲間が集まって、お酒を飲みながら昔話に花を咲かせる時もある。

何? どこで飲むのかって? そんな事オシエナイヨ。企業秘密だ。(笑声) 

 

<脱線千一夜 第48話>


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