うそ放送

 

 今ここにA君とB君がいる。まずA君にB君の事を聞いてみる。

A君いわく「Bの奴、ウソツキったらありゃしない。あいつの言った事で、本当の事は一つもない。今度の数学の先生はとてもいい先生だって言ってたけど、習ってみたら数学の成績が5から1になっちゃった」(笑声)

 今度はB君にA君の事を聞いて見ると「ああA君ね。A君はとっても正直だよ。この間、大通りに一円玉が落ちていたんで拾ったからどうするのかと思ったら、交番に持って行ってお巡りさんに渡したよ。(笑声) でも、お巡りさんはその一円玉を一度貰ったはいいが、君は正直者だからご褒美にこれを上げる、と言ってA君にその一円玉くれたけど、あのお巡りさんのやりかたは汚職じゃないかな」(笑声) まあ、内容はとにかくとして、この二人の話を聞くとどう思うかね。

そうだね、A君かB君かのどちらかが嘘をついている。

二人共正直でも無いし、二人ともウソツキでもない。

A君が正しいとしよう。

A君はB君がウソツキだと言ったのだから、B君の言ったA君は正直と言うのは嘘で、A君が正しいとした前提条件に反する。

だからと言ってA君がウソツキならB君は正直者となり、正直者のB君がウソツキのA君を正直者と言う訳がないので、これも矛盾になってしまい、いずれにしろどちらか片方がウソツキである事が解る。

 

 まあ、これは論理学の問題で、似たような問題が多くあるが、数学の一分野と言っていい物で、方程式に似た式を使って解いたりする。

でも、実生活でのウソツキは困り者で、学校で先生達同志は嘘なんかつかないから、一般社会でもそうだろうと思うと、大人でも、平気で白々しい嘘をつく奴が多いので腹が立つ。

言ったのに言わないなんてごまかす位可愛いもんで、ちゃんと証拠の書類に印が押して有っても、その時はそう思ったから印を押したけれど、今は考えが違うから駄目だなんて強情を張る。

何だろ、こいつブタかななんて思っちゃう。(笑声)

又、ウソッパチの話がテレビの電波に乗って、日本全国津々浦々に広がってしまう事もある。

ヒマラヤの奥地のムスタンと言う所の話は、原住民にお金払って面白おかしい事やってもらって、それをいかにも苦労して写したかのように見せる。

滑稽なのはこのヤラセでしかないものを、なかなかいい番組だって訳で録画して、これがヒマラヤの生活だって生徒に見せた先生があったそうだ。

全く先生達位純情素朴な人種は無いな。(笑声)

 

 これがヤラセ番組だって解った時にはその先生、困っちゃったろうね。

そこでその先生は、この通りたとえNHKであっても、このような嘘を放送する。

マスコミってのは、平気で白を黒と言いくるめるような所がある。

だから君達は絶えず内容をチェックして、新聞やテレビの嘘にひっかからないようにしなけりゃいけない、ナーンチャッテ、マスコミ批判の授業にしてしまったという話だが、本当かどうか知らないヨ。(笑声)

 

<脱線千一夜 第54話> 


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