教育改革

 

 以前から新聞やテレビなんかで、学校教育の危機なんて騒いでいる。

大学じゃ学生達は、教室にいるだけでわいわい騒いでいるから、先生の方も仕方ないので、原稿の棒読みになってしまう。

でも、来ている学生はまだいい方で、一回も先生の顔を見ないで試験だけ受けるという豪傑もいる。(笑声)

どうしてそんなことが出来るかって言うと、試験の前に、重要事項をコピーした紙が出回る。

中には、生徒会がこれを売って商売している。(笑声)

その重要事項に目を通しておけば、成績は良くなくても、最低の単位は取れて、卒業できると言うことになる。

大学よりも下となったら、17才の殺人、荒れる中学校と話題に事欠かない。

それで、教育改革なんて言ってるけど、ナーニ、何にも出来やせんよ。

 

 小中学校に臨床心理士を置くことが考えられているとのことだが、そんなもの、何にもならない。

置くんだったら、戦争中の学校が配属将校を置いたように、配属警官を置くんだな。(笑声)

先生が生徒に刺し殺される時代だから、この配属警官は絶対必要だね。

これを置かないって事は、つまり、政府が如何に先生達の生命を軽んじてるかの証拠だ。

とにかく、学校という所は、出来るたけ、クサい物にフタと言う考えなんだ。

生徒が何か悪い事をしでかすと、担任の先生に指導力がない、学年や教科の先生のチームワークがなっちゃいない、校長に統率力がない、教育委員会はきちんとした指導をしていない、なんて叩かれてしまうんだから、出来るたけ隠してしまう。

先生達が一生懸命に指導しても、駄目な奴は駄目なんだけどね。

何か起こったとなると、マスコミに嗅ぎつけられないように箝口令(かんこうれい)が下る。

新聞記者や雑誌記者が来ても喋るな、テレビ記者が来たら校舎から追い出せ、(笑声)  他の父母に聞かれても喋るな、他の学校の先生に喋るな、家に帰ってからも奥さんや子供には内緒にしろ、(笑声)  てなわけだから、新聞やテレビに出る事件は氷山の一角、全体の1パーセント位だろうから、先生殺しなんて言うのも相当あったんじゃないかな。

ましてや、いじめ殺人なんてのは数限りなくあったのだろうよ。

そこで先生の教育改革案の第1は、この、臨床心理士を学校に配属したら、学校の組織とは全然違う物にすることだ。

自衛隊や警察となるといささか問題になるので、この際、少年院の組織を拡充して、その末端組織にしたらどうだろう。

まあ、こんな風にして、どんどん傷を突っついて膿を出させることが肝要だ。

 

 さて第二番目はと言うと、授業は昔からのスタイルの1学級1人の先生が指導するのはおかしいんだ。

ある人が少年時代に外国で過ごして、その時の話をしていたが、1学級に先生は2人、多いときは3人。これをやらなけりゃ駄目なんだ。

だから日本はどんどん後進国になっちゃう。

1人の先生が説明をしている時に、他の先生は生徒の態度について目を光らせる。

中学生高校生位でいささかおつむの出来の足りない奴は、時間中に先生に悪さする事が、自分が英雄として周りから認められると勘違いして、先生が黒板の方を向いてるときに、時計のガラスの反射で先生の頭を照らす、理由はよく分かってるよな。(笑声)

非道いときにはパチンコで癇癪玉を撃ったりする。

こうなると、もう犯罪で、偶然その時に先生が振り返ったりすれば、眼鏡を割って顔に傷を付けたり、場合によっては失明することもある。

だから、黒板の所で授業している先生の他に、生徒の様子を監視している先生が必要だ。

それから、先生というのは、勉強が出来たり、話がうまかったりするだけじゃ駄目なんだ。柔道や空手やボクシングの稽古をしていて、ポケットには手錠を持っている。(笑声)

まあそこまでは行かなくても、ある程度は、数で悪たれ共を押さえなけりゃならないんだ。

また、この副担任の先生は、例えば数学で中学生なのに九九が出来ない生徒などの、個人指導等の能力別学習のときにも、たいせつな役目がある。

 

 三番目には、今、はやりの公共投資である。

けしからん公共投資は、船が殆どこない所に、大きな港を造ったり、アスファルトの凄い良い道を造ったが、何ヵ月に一台位しか自動車がこなかったり、ゴミ焼き場が一つあれば十分の島に何基も造ったり、政治家と業者との癒着による税金の無駄使いだ。

こんな事よりも、今すぐ必要なことがある。それは、教室に冷暖房を入れることだ。

昔軍隊今学校、変な精神主義がまかり通ってる所だ。暑いとか寒いとか言ってる奴は根性がないんだ。一生懸命に勉強すりゃあ暑さ寒さすっ飛んじゃう。訳の分からない奴に限ってそんな事言ってるけれど、昔の軍隊は金がないから良い兵器を沢山造れない、だから精神主義になってしまったんだ。歴史が証明する。

だいたいが、学年が変わって、そろそろ荒れてくるのが、1学期の終わり頃。理由は簡単、暑いから。(笑声)

次は2学期が始まって1週間位は何とか持つ。何故かというと、夏休みの遊び疲れ。(笑声)  それから爆発する。

この九月の残暑は7月よりひどい。早く雨が降って涼しくなってくれと神様に祈りたい位だよ。

それから、給食は教室なんかでなくて食堂にする。これはそうやっている学校も多いね。

だけど、配膳は生徒にやらせない、ゼネコンの職員。当然だ。生徒の中には怠け病だとかお喋り病だとか、いろいろの病気を持っている者がいる。(笑声)

配膳だけじゃない。教室や昇降口などの掃除もゼネコンの職員。先生の見ている時でさえ、床を拭いた汚い雑巾で平気で先生の机を拭くようじゃ、全然しつけに悪い。税金はこうして使ってこそ生きるってもんだよな。

 

 ではその次、法律の改正。この間、少年法の年齢の引き下げをするって騒ぎの時、なんだかんだと反対した政党があったが、アレは、自分の息子や娘がワルで、年齢の引き下げすると引っかかると心配したんだろうよ。

大人も子供も法の元には同じ扱いにする。まだ未成年だから人殺ししたって平気だ。なんて考えている奴から、社会を防衛するには、これは必要なんだ。

そもそも日本の法律は、かつて、内務省が猛威を振るっていた戦争前の日本を見て、オッチョコチョイのアメリカ人が、全部反対にしちゃったんだ。

だからこんな馬鹿げたことが起こってしまう。大人も子供も法の前では同じでいいんだ。

まだ頭の足りない子供のやったことだからと言うんなら、それは、弁護士や検事、そうして裁判官に任せればいいんだ。

頭の足りない大人だっているし、(笑声)  悪い事なら大人顔負けの子供だっているんだ。

だから、今迄のように、相場見たいな物決めて、何才なら人殺ししたってせいぜい何年だなんて事を、思わしてはいけないな。

 

 最後に自習時間のことだ。

自習というのを時間割に組み込む。君達、変な顔してるな。

こりゃあ先生の発案じゃなくって、実際に中国では、やっているらしい。

一日に6校時ある内に、その内2校時は自習。こりゃ積極的に取り込む必要があると思ったね。と言うのは先日の新聞に出ていたけれど、中学の3年間に家で数学の勉強を全然やんなかったと言う奴が、驚くなかれ25パーセント。(笑声)

小学校では学級担任制だから、宿題やってこなかったり、人のを写してばれちゃった時など、放課後残り勉強させられたりするが、中学じゃあその時間で終わり、残して勉強させようとしても、そんな奴に限って部活だの何のと逃げてしまう。

だから一日を8校時にして、その内の2校時を自習時間にする。

予習でも復習でも宿題でも何でも良い。毎時間小テストがあれば、その準備もある。

でも机に向かって静かに出来るものじゃないと、他人に迷惑だ。

理科の実験だとか、体育館でバスケットの自習なんてのは駄目だな。(笑声)

音楽の発声練習なんてのもそうだ。いささか音痴な奴にそれやられたら、聞いてる方の頭が変になってくる。

2時間もやられたら、みんな頭が変になって、学校が気違い病院になっちゃってるかも知れないな。(笑声)

 

<脱線千一夜 第65話>


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