弁護士は尊敬に値する職業か

 

 職業に貴賤の別はないと言われていても、それはあくまで建て前の話であって、尊敬に値する職業、値しない職業、いろいろある。

尊敬に値する職業はさておいて、尊敬に値しない職業を考えてみよう。つまり、みんなから嫌がられるような商売って何だい。

お見合いなんかの時に、お宅のご商売は何ですか何て聞かれて、○○ですなんて答えたら、ウェーとなっちゃっていっぺんで破談になるようなやつ。

え、泥棒。(笑声) 泥棒は職業じゃないから抜くよ。

高校の願書のお父さんの職業の欄に、泥棒だとかヤクザなんて書いてあるのは、長いこと先生商売やってるが、見たこと無いな。(笑声)

ヤクザだって何とか商事なんて看板出してるから、会社員になっちゃう。

これからの話は日本の事じゃなくって、海の向こうのアメリカの事だが、尊敬に値しない職業、つまり職業のワースト3は「新聞記者」「自動車のセールスマン」「弁護士」だそうだ。

何だか変な顔してる者が多いな。日本とアメリカとは社会の仕組みが違うので、こうなっちゃうらしい。

 

 新聞記者についちゃ、以前、先生が親にあんな者はゴロツキだと言われたことは話したな。新聞でばらすぞと脅かして、恐喝するって奴等のことだが、アメリカには結構いるんだろう。

今の日本にだっていない訳じゃない。先生の知ってる奴にも、つまり「赤新聞」なんてのを出して、恐喝と言うよりも情けにすがって食ってる奴がいるが、惨めなもんだ。

自動車のセールスマンて言うと、今の日本じゃさしずめ新聞の拡張員みたいなもんだろう。

「奥さん、頼むから3ヵ月うちの新聞取ってくれよ。サービスすっからサー。洗剤あるよ。旦那野球好きかい。いいカードあるよ。」なんていって、ねちねち粘られ、何とか断ると不貞腐れて、ドアを腹立ち紛れにバタンと閉めて出ていく。

こんな訳で新聞記者と自動車のセールスマンというのは分かる。所が弁護士という職業が、何故、尊敬に値しない職業になるかというと、これはあまりに数が多いというのがもとなんだろう。

人口に対する比率が日本の何十倍らしい。そうなると、仕事の取り合いになる。お上品なこと言ってたんじゃ、飯の食い上げになるって言うわけだ。

 

 以前に何かで読んだことがあったような気がするが、アメリカじゃガチャンと交通事故があると、一番先に飛んでくるのは弁護士。

悪いのは向こうで、あんたは絶対に悪くないんだから、裁判起こしてうんと弁償金ふんだくりましょうって、しつっこくすすめる。

そんなわけで一番は弁護士で、二番目は自動車屋。

この自動車はポンコツになっちゃったから、次の自動車と替えましょう。我が社はポンコツを高く買って新車を安く売るんで有名な店です、とうるさく付きまとう。

三番目がいよいよ三度目の正直で、ようやくパトカー、一番最後がようやく救急車だそうだ。

とにかく金になる物は早くて、只の物は遅い。金が第一というわけだが、これが、案外と今のアメリカの繁栄を築いた哲学かも知れないぞ。(笑声)

でも弁護士の多いのには困りもので、ちょっとした事でも、わっと殺到して大事件にしてしまう。

日本の会社もこれに引っかかって、何億円という弁償金を払わされたのもあるらしいけれど、肝心の原告に行ったのはその弁償金の僅か1パーセント位で、あとの99パーセントは弁護士が訴訟費用として取っちゃう。

計算すると1時間で何十万円になるらしい。一日じゃないぞ。1時間だ。こんなにおいしい商売って無いな。だからどっかにいいカモがいないかって、鵜の目鷹の目で探してる。

そこに、日本と同じ調子だろうなんて、ぼんやりしてやって来た日本企業は真っ先にやられて、這々の体で逃げ出すって事になる。

 

 また、アメリカの裁判たるや実にいい加減で、日本人学生をピストルで撃ち殺しても無罪、白人と黒人の争いの時も、陪審員に白人ばかり揃えて、黒人を悪者にするなんて事もあった。

大統領選挙なんかで、沢山の得票を取った候補者が、得票が少なかった候補者に負けてしまうなんて、バカバカしい、民主主義に反するような事があるのもアメリカだけだろう。

だから一方で、いくら国力があっても、月に星条旗を置いてこようと、世界一の軍備を誇っていようと、文盲率は高いし、貧富の差は激しいし矛盾だらけだ。と言う訳で、その隙間を狙って、物凄く大勢の悪徳弁護士が、カモを探してんだろう。

日本だったらお父さんのお仕事は? 弁護士! オウムの事件で何人か悪徳弁護士がいたが、いまは弁護士会から除名されちゃってる。

普通だったら社会的に認められ、収入もあるいい職業で、いい家庭だろうと思われるがね。

アメリカでお父さんの職業は弁護士と聞いたら、アリャ、こりゃ危ないぞ。ヤクザかな、詐欺師かな、と注意してかかる必要がある。

これから世界はどんどん狭くなっていき、国際結婚も増えるだろうから、気を付けるんだな。

 

 ワー素敵なカワイイ子だ、金髪で、グラマーで、マリリン・モンローみたいだ。(笑声)

なんて惚れ込んで、What's your daddy? 君のお父さん何してんの、なんて聞いたら、Lawyer! 弁護士よ! なんて言われて、おったまげ、や、凄いインテリの家の子だ。絶対金持ちだ。しめた。ギャクタマだ。(笑声) 

なんて思ったら、希代のペテン師で、現住所は牢屋の中だったりしてな。(笑声)

 

<脱線千一夜 第71話> 


前へ戻る
メニュー
次へ進む