ヒトマネ日本
日本人は昔からヒトマネがうまい、独創的なことは出来ないと外国から悪口を言われてきた。
例えば、山で急勾配を登る蒸気機関車が必要だ。そうすると、外国から2台ばかり買う。それをよく調べて、そっくりな物を何台も作ってしまう。
オートバイもそうで、ヤマハが初めてレースに出た時に、エンジンはドイツのDKWのコピーでまあどうにか出来たけれど、消音器、つまりマフラーがうまくいかない。しらばっくれてDKWの物を使って優勝したって話がある。
でも、このように初めは外国の真似でも、それから日本独自の発展をして、光学機器、電子機器、オートバイや自動車、世界のトップを走ってるのは、まことに喜ばしいことでありますナ。
このように日本独自の発展をして世界のトップになったのは、今、斜陽産業になっていて残念だが、映画なんかそうだ。
「七人の侍」なんて映画は、外国でコピーされて「荒野の七人」なんてのが作られた。
怪獣映画の「ゴジラ」も、世界的に人気があって外国でコピー物が作られた事もある。と言うわけで「ゴジラ」は日本人の独創である、外国でも認めていると喜んでいる向きもあるが、所がどっこい、アメリカ映画の真似なんだ。
「ゴジラ」が作られたのは、今からおよそ50年前、その少し前にアメリカで続けて2つばかり怪獣映画が作られた。
一つは「放射能X」と言うので、これは、水爆実験の放射能の影響で巨大化したアリが出来る。
アリだよ。わずか数ミリのアリが象のように巨大化する。そうして大顎を振るって人間を攻撃するという話だ。
もう一つは「原子怪獣ニューヨークに現る」と言った、題名の通りの映画だ。
これも核爆発実験の影響で、北極海から怪獣が現れ、ニューヨークをメチャメチャにするといった映画で、これを見た日本人の映画関係者が、しめた! これで一儲けしてやろうと思ったんだろう。
「原子怪獣ニューヨークに現る」はトカゲをでかくした位で、ちっとも怖くない。
もっとおっかなくして、お客がゾッとするようなのを作れ。てなもんで作ったのが「ゴジラ」だけど、名前も子供達に覚えやすいようにした。
これが、まあ、日本独自の物だと言えばいえないことは無いがな。「クジラ」と「ゴリラ」の混ぜ合わせで「ゴジラ」、「ゴ」や「ジ」のような濁音を使ったのは如何にもおどろおどろしくて面白い。
反対に「ク」や「リ」を使ったんじゃちっとも怖くない。「クリラ」なんてんじゃ、ネズミに追い駆けられて逃げ回ってる漫画チックな怪獣になっちゃうな。(笑声)
<脱線千一夜 第75話>
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