督戦隊

 

 今はアメリカが世界の憲兵だなんて威張ってるが、昔のモンゴル、つまりジンギスカンの騎馬軍団は、当時、世界最強だったと言われるな。

これは、その時に麦の栽培法の技術が、革命的に進歩したからと言われる。

大勢の手間がかかった農業が、少ない人数で出来るようになったので、余った壮丁達を軍隊に組み込めるので、大勢になった軍隊で敵を襲撃し、敵が降参しなけりゃ、徹底的に攻撃して、皆殺しにしてしまう。

え? きれいな女?(笑声) 又、始まったか。ご想像に任せるよ。それが多分当たってるだろう。(笑声)

降参したら、命は助けて、その代わりにモンゴル軍に忠誠を誓わせる。

そうして、次の戦いの時に、最前線に追いやり、そこで戦わせる。敵を怖がって逃げてくると、モンゴル軍の督戦隊に殺される。だから必死で戦うよりほかはない。

 

 鎌倉時代にモンゴル軍が日本に攻めて来たが、中身には相当の朝鮮人がいたそうだ。つまり、モンゴルに降参した朝鮮人が今度はモンゴルのために働かされてるんだ。

船はモンゴルの命令で朝鮮人が造らされたんだ。だから、俺達の船じゃねえんだ、モンゴルの奴等にただ働きさせられてんだ。誰が本気で作ってなんかやるもんか(笑声)

なんて訳で、手を抜いていい加減な造りだったんだから、嵐でバラバラになっちゃったって説もある。

モンゴルは陸の人間で海のことは皆目分からなかったんだろうから、うなずけないこともない。

 

 まあ、こんな風に、負けたり降参したりすると、次の時に第一線に放り込まれて、非道い目に合わされるんだな。

「燃えよ剣」を読んだ者いるか。何人かいるな。

司馬遼太郎の小説で新撰組の土方歳三の話だけど、あの小説の中じゃ、官軍の中に一人斬り込んでいって、名を名乗った瞬間に官軍の一斉射撃を受けて戦死すると言った、とても格好いい最期なんだけど、本当は大分違うらしい。

手下の者や、降参して寝返った者に「ホーレイケ!逃げて来やがったら、叩っ斬るぞ!」って突っ込まして、自分は後の方で刀を抜いて、逃げてくる臆病者がいたら、叩っ斬ってやると見張ってる。

官軍の方じゃ、敵はわけ分からずメチャメチャな攻め方をしてくる。こりゃ、後で逃げて来たら殺してしまうと言う督戦隊がいるに違いない。

何処にいるんだ。あそこだ。あの松の陰にいる、おっかねえツラした奴だ。(笑声) 彼奴さえ殺せば敵は総崩れだ。よーく狙って撃ち殺してしまえ。てなわけで一斉射撃の標的にされてしまった。

土方歳三が殺されて、後で見張ってる者がいなくなったら、誰だって命が惜しいから、クモの子を散らすように幕府軍は崩れてしまって、五稜郭は官軍の手に落ちたという次第だな。

 

 日中戦争の頃なんかでも、蒋介石や毛沢東の軍隊は、後に機関銃を持ってる督戦隊が見張ってるなんて言われた。

日本軍に攻められて逃げれば、味方の機関銃でイチコロだから、仕方なく必死で戦う。

それに引き替え、我が大日本の「忠勇無双の兵隊さん達」は、勝たねば生きて帰らじとばかり、天皇陛下に捧げた命、何が惜しかろうとばかりに戦う。

まあ、どっちにしろ、お気の毒なもんだけれどな。(笑声)

 

<脱線千一夜 第120話> 


前へ戻る
メニュー
次へ進む