足寒頭熱

 

 何十年も前のことなんだがな。夏休みの前か後だか忘れたけど、とても暑い日があった。

教室でテストか宿題かを見てたんだけど、暑くてかなわん。そこで、バケツに水を汲んで来た。

え? 頭からかぶるのかって? お前さんじゃあるまいし、そんなこたしないよ。(笑声)

机の下に入れて、素足になって水の中に入れて、冷やすんだ。こりゃ調子良い。いい塩梅に成って、そんな格好で二時間位仕事した。

それで、その日、家に帰り夕飯を食べ、なにやかだやって12時頃に布団に入ったと思う。

所がだ。夜中になって物凄く体が痛くなる。痛いワ痛いワ物凄く痛い。野球の硬球を体中にぶつけられたような感じだ。(笑声)

とにかく、物凄く痛いんで寝てなんかいられない。仕方なく起き上がって、柱に寄りかかっている。勿論眠れない。

とうとう一晩中そんなカッコして痛いのを我慢してた。やっと朝になって起き出したら何とか治った。

 

 一体アレは何だろう。昔から頭寒足熱って言われるけれど、その反対で足寒頭熱だったからだろうな。

ただの足寒頭熱だったら潮干狩りなんかそうだけど、あっちこっち歩き回って運動してるから、特に体によくないことは起きないんだろう。

足を冷たい海の水の中につけて、体の方はと言うと「畜生、これっぱっちしか取れねえ。これじゃあ遠足のバス代の百分の一にしかなんねえ」なんてカッカッしてるんだからな。(笑声)

 

<脱線千一夜 第121話>


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