一匹も捕まらないゴキブリ獲り器

 

 電磁波と超音波でネズミとゴキブリをブロックするっていうアメリカ製のゴキブリ等駆除器が、殆ど効果がないって事が新聞に出てた。

読んだ者、相当居るよな。

一台で一万円位だが、20億円も売ったとは凄い。

テストしたら、ネズミは一時食欲が減退するが、すぐに順応してしまって、何にもならない。ゴキブリには全然効かないとは恐れ入った次第だ。

でも効かないだけで、害にならなけりゃいいってもんかな。

ゴキブリのような生きた化石の生命力には太刀打ちできない。ずっと高等動物の哺乳類のネズミには一時食欲減退ってのがある。と、なりゃ、人間のような霊長類には、どんな悪影響があるか計り知れないな。

幸いに今のところはガンになったとか言った報告はないらしいが、宿題やらなくなったり、(笑声) 異常に性欲が増進したり、(笑声) とも限らない。

 

 先生の関心のあるのは、こういった物を買った人は、商人に突っ返せるかどうかだ。

先生は大昔に映画の映写機を買ったことがある。それで、フイルムを架けて映してみたら、とってものろいんだ。一体どうしたんだろうと思ったら、60サイクルって書いてある。

この辺じゃ50サイクルだから、間違った品物が店に来ちゃったんだな。勿論のこと、持ってったらすぐに取り替えてくれた。

先生は不思議に60サイクルに縁があって、その頃、レコードプレイヤーを買ったら、これも又回転がのろい。やっぱり同じ60サイクル用でこれも交換して貰った。

機械物じゃないが、コンビーフの缶詰を買ったら、どこかに小さい穴が開いてたんだろう。中が腐ってた。

ビニールの袋に入れて縛り冷蔵庫に入れ、それから、製品、製造番号、製造月日などと腐り具合、買った店など書いて、メーカーにはがきを出した。

少ししてから、詫び状とコンビーフの缶詰が5つばかり送って来た。腐ったのは処分して下さいってな。

それからコンビーフの缶詰なんか開ける時、腐ってりゃ儲けだと思って開けるが、残念ながら、それ1回だけ。(笑声)

とにかく、駄目なら駄目でメーカーに引き取らせるべきだな。

 

 ひどかったのは血友病の薬で、エイズのウイルスが入ってるのを知ってて売り払っちゃったんだ。

危ないと分かった時にすぐに回収してアメリカに突っ返っしゃよかったんだ。

それが出来ないってのは、やはり、敗戦国の悲しさだよな。

金は払っちゃったんだから、患者に売りつけなけりゃ、会社が潰れちゃうってんで、安全だ安全だって言って毒薬を使わせて、何千人の死者や、その何倍かの患者を出してしまった。

中国製のやせ薬だとか、農薬残留野菜なんかだとすぐに大問題にするが、二重基準だな。

 

 昔から日本にあった蠅取り紙のアイデアで、ゴキブリホイホイなんて面白い名前の、使い捨てゴキブリ捕り器が発明され大受けだった時がある。

でも、それが世の中に出る少し前に、ゴキ○○○なんて道具が、ある会社から発売された。

薬の名前なんていい加減なもので、胃腸の薬に×××なんてのがあったが、アレなんかは、英語と日本語をごっちゃにした洒落だろうな。

「through(・・を通って)」と「スルスルと抜ける」てなもんだろう。(笑声)

 

 所でこのゴキ○○○なる代物、名前からすりゃ、ゴキブリなんか一網打尽のような感じがするが、それにしちゃゴキ○○○は、何日やっておいても、ゴキブリが1匹も捕れない。(笑声)

果物の皮のようなゴキブリの好きな物を中に入れておいて、ゴキブリがやって来ると、電気ショックで殺すって仕掛けだ。

勿論、電池は新しい45ボルトの奴で、テスターで調べてあるから間違いない。

一週間に一回くらい餌を取り替え、もう捕まるか、今朝は掛かってるかと思って見ても、駄目。最後にゃ電池が無くなっちゃった。(笑声)

 

 所でこのゴキ○○○の会社、何年か前にVTRの事でユーザーと係の人が喧嘩して、ユーザーが腹を立てて、電話の内容を録音してインターネットで公表したことがある。

何? お兄さんがインターネットやってて聞いたことがあるって。

そうか。先生も聞いたが、会社の人が、まるでヤクザのような口の利き方で、ユーザーに対して酷い事言ってたが、アリャ、商人がお客に対しての言葉遣いじゃないな。

然し、公平に考えりゃ、会社を悪者に仕立てるために、ユーザーが話を誘導して録音したんだろうから、本当の事は分からない。

でもこれで会社は決定的な打撃を受けたらしく、電池なんか売れないんでバカ安売りしてた。おかげでコチトラ助かったがな。(笑声)

 

 この会社は昔から日本でトップクラスの電機会社だった。

やることも大したもんで、日米戦中に廃物を掻き集めて「ソラ」という真空管を作った。真空管数多しと言っても日本名のはこれだけだ。

つまり航空機用の万能真空管だから「空」から「ソラ」と言う名を付けたんだが、この時の開発の中心は、後に南極観測の第一次越冬隊の隊長をやった西堀博士で、♪雪よ岩よ 我らが宿り 俺達ゃ町には 住めないからに♪ の雪山賛歌の作詞者代表としても知られるな。

 

 ま、この西堀さんがいた会社って訳で、先生はこの会社をいくらかひいきにしていたが、近頃はどうもよくないな。

あのゴキブリ一匹捕れないゴキ○○○も、こんなの駄目だって、突っ返っしゃえばよかった。

当時、二千円もしたんだ。今なら一万円だろう。安売りの電池買った位じゃ、引き合わないやな。

お金付けて電池をくれなけりゃな。(笑声)

 

<脱線千一夜 第133話>


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