大腸菌警報

 

 上品な話じゃないけど、以前に、暁の黄金艦隊なんて話はしたな。何かを船に満載して、太平洋に行って流して来ちゃうって奴だ。

そうだ。トイレで出る奴だな。(笑声) 所で、本当かウソか知らないが、この間、こんな話を聞いた。

 

 みんなも知っての通り、お勝手の洗い水や、お風呂の水、問題のトイレの水などは、下水道に流される。

それは下水処理場に送られ、固形物と水に分けられて、固形物は乾燥されて焼却処分される。

この灰は煉瓦(レンガ)なんかになるらしい。下水から煉瓦を作るって言うから、ウワッと思ったけど、燃やした灰を使うって言うんだから、別に臭いがする訳じゃない。(笑声)

水の方はって言うと、薬など使ってきれいにしてあるから問題ない。え? 水道に入れる? (笑声)

まさかね。人工衛星じゃないからな。人工衛星じゃこれをきれいにして、また飲み水にして何回も繰り返すらしいがな。

何だって? 俺、宇宙旅行なんて行かねえって。(笑声) 誰も頼みになんか来ないから、心配するこた無いよ。(笑声)

まあ、この水は飲料水じゃなくって、工業用水に使うらしい。製紙工業なんか、うんと水を使うから、みんなが使ってる教科書やノートにも、入ってるかも知れないぞ。(笑声)

 

 この前の台風の後のことなんだけど、海岸のあちらこちらに、なにやら汚らしい物が流れ着いたと言うんだ。

一体何かと思ったら、下水処理場のバイパス用パイプの壁にこびりついてた物が、強い流れで引き剥がされて、海に行ってしまった物らしい。

じゃ、下水処理場のバイパス用パイプってのは一体何かっと言うとな。ここが問題だ。

 

 雨が降った後その水はどこに行くのだろうか。

まずは、地面に沁み込んで行くのがある。これが一番いい。

次に川の水になって海に流れて行くのがある。台風の後なんかは物凄く水かさが増す。前に九州の高千穂峡に行ったことがあるが、川沿いの道よりもずっと高いところに流木がひっかかっている。

説明によると、嵐で水かさが増したときに流れてきた物で、つまりその時は、川沿いの道は水の底って訳だ。

 

 その次が問題で、都会じゃコンクリートやアスファルトで舗装され、雨の水はみんな下水に流し込まれる。

だから、台風の後なんかにゃ、普段の何倍もの水が下水道に殺到してくるんだ。そうなると、下水処理場の処理能力をはるかに超えてしまう。

雨水で薄められてるとは言え、トイレの排出物なんかの大洪水だ。(笑声)

下水処理場ではこれ以上を処理できないってわけで、それをバイパス用パイプに流す。そうして、海に流してしまう。

この下水処理場のバイパス用パイプなんてのは、たまにしか水を流さないから、パイプの中は乾いている。そこに下水道の汚い物がこびりっ付いてるんだ。

これが嵐の時の強い流れで剥がされて、海に流れてくる。ナマの奴も一緒にな。(笑声)

 

 どうも困ったもんだが、とにかく、今の下水処理の仕組みはなんとも不完全だ。雨水は下水に流さないで別のコースにして、川なり海なりに流すべきだな。

北海道なんかで、たまにしか車の来ない高速道路を造るよりも、まず、こんな事から公共事業をしなけりゃならないな。

 

 この話を聞いたら、海水浴なんか行く気がなくなった。天気予報があるように、大腸菌予報があってもいいな。(笑声)

「○○湾岸地方は1CCあたり大腸菌○○匹以下で、直接に飲まないようにすれば安全です。(笑声) ××湾岸地方は1CCあたり大腸菌×××匹以上で、大腸菌警報が出ております。(笑声) 行楽においでの方は、ガスマスクをご用意下さい」なんてナ。(笑声)

 

<脱線千一夜 第134話>


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