オバケと美女軍団

 

 またまた昔に読んだ話なんだがな。

先生なんかの子供の時にゃ、漫画よりもむしろ挿し絵が沢山あって、とてもよく描いてある小説が主流、中にはページの半分が物語で、後の半分が絵と言う、つまり絵物語みたいなのが多かった。「源氏物語絵巻」の頃に生まれた訳じゃないけどな。(笑声)

まあその「絵物語」のなかで、ある話だが、前も後も忘れてしまってるけど、途中の一部分だけ覚えてる奴がある。

 

 主人公の少年が、夜、山の中をさまよっている。と、何だか賑やかな声が聞こえる。

一体なんだろうと、そっちの方へ行ってみると、大勢の女達が歌を歌って踊りながら歩いていて、少年を見つけると口々に一緒に踊ろうと誘う。

その女達が、まるで南米のカーニバルのように、魅力的な半裸体なんだ。(笑声) 

主人公の少年が、思わずそっちに走り出そうとしたら、雲に隠れていた満月が雲間から顔を出して、回りがサッと明るくなる。

その明るい光でよく見たら、ナント、魅力的な半裸体の女達は、見るも醜いオバケだったのでありました。(笑声)

子供向きの本だから、お岩さんみたいな怖いオバケじゃなくて、カラカサオバケやヒトツ目コゾウのように滑稽(こっけい)なオバケに書いてあったナ。

そこで主人公の少年が「何だ、お前達、みんなオバケじゃないか!」って石を投げると「ギャー、バレタカ」って、われがちに逃げて行ってしまうと言う所。

なんだか、そこだけは鮮明に覚えていて、その前後の筋は全く覚えていない。

 

 サーテ、こんなバカらしい話を思い出したのは、何故かって言うとな。そうだ。○○○の例の美女軍団て奴だナ。

朝鮮半島じゃ北の方が美人の産地と言われてるらしい。大韓航空機爆破事件の金賢姫なんかもそうだったが、殺人犯で死刑囚なのに、あっちこっちで結婚希望の慌て者が名乗りを上げたことがあったな。(笑声)

あれと同じで今度も、慌て者達がファンになって、追っかけやったとか言われてるが、面白い事件があった。

先生はハングルは読めないから何て書いてあるのか知らないが、受け入れてる韓国の方じゃ、まあ、歓迎の意味でだろう。大きな布のプラカードに「歓迎朝鮮民主共和国選手団」と書いてあったらしいが、その端に北朝鮮の大親分の金正日の写真が付いている。

それを見つけて、乗ってたバスを急停車させた。何だか話によっちゃあ、自分達でバスのブレーキを押したらしいな。

それからみんなでバスを飛び降りて高速道路を走って行った。そうして、その自分達が歓迎されてるそのプラカードを外した。

何だか、物凄く怒ってる。将軍様のお写真をあんな所に晒すとはもってのほかだと、泣き喚いてる。

確かにそうかも知れない。風が吹くと、彼女らの尊敬して止まない金正日の顔が、こんな風に(顔をしかめて)おかしなのに成っちゃう。(笑声)

だったら、きちんと伸ばしてバスに入れるのかと思ってたら、その金正日の顔の布を、しわくちゃのままグルグル巻きにして仕舞っちゃったよ。(笑声)

まあ、あれで底が見えたって感じだな。カサオバケみたいなもんだ。

 

 それから、ちょっとばかり見えたけど、美女軍団に手早く指示を出してる小母さんがいたな。つまりあの小母さんが監督なんだろう。

猛虎軍団とか赤ヘル軍団とか言った野球のチームが、監督の指示に従って動くように、美女軍団も監督の指示によって笑ったり喜んだり怒ったり泣いたりするんだろう。

怒れって指示があった時に、如何にも本気で怒ってるような顔しけりゃならない。エヘラエヘラしてるような奴は、即刻クビで家族もろとも強制収容所行きだ。

この反対に、大歓迎をしろと指示があった時には、相手がどんなに嫌な奴でも、本当に嬉しそうに、貴方のお嫁さんになれたらどんなに倖せかしらなんて顔をせにゃならんし、(笑声) しなけりゃ、即刻クビで家族もろとも強制収容所行きだ。(笑声)

お嫁さんに欲しいって言われたら「キャーッ 嬉しいっ」って跳び上がって、(笑声) 相手に、女奴隷のように一生お仕えしなけりゃいけない。そうしなけりゃ家族もろとも強制収容所行きだ。おかわいそうにな。(笑声)

 

<脱線千一夜 第164話>


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