大江健三郎

 

 「脚気(かっけ)」を制圧し、外国からも高い評価を受けた海軍の軍医総監高木兼寛をヤブ医者だと言い張り、陸軍の軍医総監森鴎外は強情で、「脚気菌」が必ず見つかる訳だと言い続け、莫大な死者を出してしまったことは、前に話したな。

とにかく、戦場で白兵戦になって銃剣持って突っ込んで行く時、日本兵は脚気でフラフラして、よろけながら駆けてくる。酔っぱらいみたいだったらしい。(笑声)

相手のロシヤ軍でも有名で、どうやら日本兵は酒飲んで景気付けて突貫してくるようだ。馬鹿と気狂いは相手にデキねえ。(笑声)

でもよく聞いたらありゃ「脚気」って言う病気だと、ロシヤ軍の兵隊達もよく知ってたらしい。

 

 まあ、そんな醜態でよく日露戦争を勝てたと思うけれど、日本海軍が一方的にロシヤ海軍を破った日本海海戦や、革命騒ぎが始まりかけ、ロマノフ王朝が危なくなっていたのが日本には良かったんだな。

だから幸か不幸か鴎外は大勢の兵隊を殺した責任を追及されず、死ぬまで「脚気菌」があると言い張っていたらしい。

でも、ひどい話を聞いた。日米戦中だから日露戦よりも何十年も経ってからだけど、日本陸軍の衛生兵の教科書に、脚気はビタミンBの欠乏に依るもので、それはかつて陸軍軍医総監森鴎外の発見に依るものであると書かれていたらしい。つまりパクリだ。(笑声)

陸軍と海軍の喧嘩は有名で、こんな子供っぽいウソを書いたりする。

 

 所で、森鴎外と同じ様な文豪の夏目漱石にもこんな話がある。

夏目漱石は長い間イギリスに留学していたというのは、前に話したな。

じゃ、彼は何を勉強するんで、長い間留学したかというと、英語を習いに行ったんだ。

そうして、少しでもお金が余ったら本を買おうと、贅沢はしないで、安い下宿に泊まっていた。

一生懸命勉強して、英語の難しい本をどんどんと読めるようになり、立派な論文も書けるようになった。

そこ迄はとても結構な話だが、困ったことが出来た。何だろう? え? よく知ってたな。そうだ。会話が出来ないんだ。

学校でのきちんとした話は出きるんだが、下宿に帰ってくると、回りの連中は一体全体何を言ってんだかサッパリ分からない。つまり日常茶飯事の会話は全然駄目。

でも彼にはプライドがあった。こんな貧民窟の奴等に用はないんだ。(笑声) 俺が日本からわざわざ地球を半回りして勉強に来たのは、本物のキングズイングリッシュだ。

てなわけで、英会話なんて愚劣な奴が習うんだ。何と言っても読みと書きが大切だってなもんで、夏目漱石はつまり日本人の英語の先生のその又先生のその又先生。(笑声) だから日本の学校の英語教育は読み書き中心で、会話が抜けてしまったと言われる。

 

 こないだ聞いた話だけど、外国人は日本人くらい変な奴はいないって言ってるらしい。と言うのは、日本じゃ江戸時代から読み書き教育が普及していたので、文盲率は0だ。

しかし外国じゃ喋れても字は判らないと言う者が結構多い。

それなのに日本人が外国に行くと、文盲の反対で、喋れないのに読んだり書いたり出来るのは不思議な人間だなんて言われてるらしい。(笑声)

英語の先生にこの事を聞いたら、確かにそういった話もあるが、うちの学校の連中達はちっとも勉強しないから、読めない書けない喋れないからスリーストライクでアウトだって話だ。(笑声)

 

 森鴎外や夏目漱石と同様に大文学者と言われてるのに、ノーベル賞受賞者の大江健三郎がいるな。

この男がかつてトテツもないことを言ったんだ。今、とても問題になってる北朝鮮への帰国なんだが、とにかく、北朝鮮を褒めちぎっていた。

「朝鮮人達は北朝鮮という素晴らしい祖国がある。彼等はその素晴らしい楽園に帰ることが出来る。自分は日本人だから、悲しいことに帰る国がない」・・・・?????

何だか訳が分からず、変な顔してる者が多いな。

今は北朝鮮の実体が白日の中に晒されて、ハリネズミのような軍事国家で国民は金正日を中心とする支配者達の奴隷のようなものだと判ってしまってるが、その当時は勤労者が中心の民主社会主義国で理想郷だと大宣伝していて、それを本気にしてた者が多かったんだ。

所が、北朝鮮に帰ったらヒドイのナンノって。衣食住すべて日本で言やぁ敗戦直後並み。

でも、手紙にそんなこと書いたら、没収されて収容所行きだ。手紙には北朝鮮のことを褒めてないと検閲が通らない。

そこで、ひょっとしたら北朝鮮の宣伝はウソかも知れないと思った人が、北朝鮮に帰る人に、手紙を書く時、本当の事は縦書き、ウソは横書きにしてくれと、約束した。

そうしたら、「北朝鮮は素晴らしい。偉大なる金正日将軍に永遠の栄あれ」なんて手紙が来るが、それみんな横書き。(笑声)

はじっこの方に、小さく「テレビやストーブなど送って欲しい。特にお金を!」なんて書いてある。勿論そりゃ縦書きだ。(笑声)

ま、こんな訳で北朝鮮のボロはばれちゃった。

 

 それにしても、大江を始め北朝鮮の提灯持ちした人間は責任がある。

とにかく大江は一時期は北鮮シンパで一生懸命に金日成の尻馬に乗って応援していたんだ。所が風向きが悪くなると、訳が判らないようなことを言ってごまかす。とんだノーベル賞文学者だ。

この間、イラク問題でTVの座談会に出てたから、何を言うかと思って聞いたが、元首相のような大政治家達に挟まっちゃうと、言ってることが全然幼稚でやっぱりなあと思った。

だから金日成の代弁者の大江なんかの言ったこと本気にして、北朝鮮を理想郷と思って行った人達は可哀想だ。食うや食わずで、文句言やあ死刑だからな。

 

 インターネットなんかにも、せめての罪滅ぼしに、気の毒な人達の救済の為、ノーベル賞のお金を全部出せなんて意見もある。

先生もそう思う。お金だけじゃ足りない。大江の家にあるテレビやストーブなんか、全部、送ってやらなけりゃな。(笑声)

 

 

 <脱線千一夜 第166話>


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