福寿康寧とメダカの学校
「福寿康寧」(黒板に大きく板書)
これ何と読むか分かるかな。
そうだな。初めの方は「フクジュ」だな。お目出度いことだが、後の方は何だろう。
え? やすね? 徳川家康の康だから「ヤス」か。でも後の方は「ネ」じゃない。「ネイ」だ。でも「ヤスネイ」とは読まない。康を「コウ」と読む。だから「コウネイ」だ。
この辺は音と訓とが混じった重箱読みだな。
そうなるとこの「福寿康寧」(フクジュコウネイ)ってのは、さて、一体何の事だろうか。
え? 名前かも知れないって?
そうだな。「福寿」って苗字の人は結構居る。
でも残念ながら名前じゃないよ。
ちょっと難しいか。じゃ、この「福寿康寧」の仲間にはこんな物がある。
「春風献上」・・・・まだ難しいだろうな。お! 手が上がったな。何だって? 年賀状の挨拶文? そうだ。良く当たったな。(拍手)
何で分かったの? え? お祖父さんの所に来た年賀状に「春風献上」ってのがあったか。
何? お習字の先生からのだって。成る程。如何にもそうらしいな。
所で年賀状の挨拶には
「福寿康寧」「春風献上」「謹賀新年」「恭賀新年」「謹賀新春」「賀新正」「賀正」「賀春」「迎春」
などなど沢山あるが、これらにはちょっとした規則があるらしい。
これらの中で一番使われるのは「謹賀新年」と「賀正」でみんなも年賀状に書いたり、貰ったりしたろう。
先生のとこに在校生や卒業生から来た年賀状にも、多く書いてあった。
でも、正式には先生に「賀正」と書くのは正しくない。また、先生がみんなに「謹賀新年」と書いても間違いだ。
つまり、字数が多い「謹賀新年」はムで、目下の者が目上の人に出す年賀状。字数が少ない「賀正」はメで、目上の人が目下の者に出す年賀状。
とするならば、先生の所には「謹賀新年」と書かなけりゃ成らないのに、平気で「賀正」なんて書いてる無神経なのが居る。
といってもこんな事は、もう通用しないな。実言うと先生もこの間、知ったばかり。(笑声)
字数が多いと有り難がってるのは、死んだ人に付ける「戒名」みたいなもんだ。
坊主にうんとこさ「お布施」をして「大□□□□院殿□□□□ウルトラ大居士」なんてな。(笑声) 「謹賀新年」が4字、「賀正」が2字だったら、みんな3文字にでもして、公平にするのがいいか。例えば「目出鯛(メデタイ)」みたいにさ。(笑声)
学校の中の目上と目下についてじゃ、「雀の学校」と「メダカの学校」の話がある
かつての日本は「雀の学校」で
♪雀の学校の先生は
ムチを振り振りチィパッパ
まだまだいけないチィパッパ♪
と、強引に教える。
廊下側で一番後の奴みたいに、お喋りなんかしてたら、当然、ムチでひっぱたかれるな。(笑声)
でも、日本が戦争に負けアメリカがやって来て、又強くなって戦争をしないように、日本を農業国にしよう。それには勉強はさせない方がいいってなもんで、先生からムチを取り上げる。教壇と言って一段高いところから先生は勉強を教えてたんだけど、それも取り上げる。
農業国にはそんな物は要らない。インドネシヤやマレーなんかにゃそんな物はないってなもんだ。
先生ってのは勉強なんか教えなくっていいんだ。子供の相手して、遊んでやってりゃいいんだ。(笑声)
テナモンで、有名な歌がある。そうだな。「メダカの学校」だ。
♪メダカの学校は 川の中
誰が生徒か 先生か
みんなで仲良く 遊んでる♪
とうとう日本人は、メダカにされちゃったよ。(笑声)
<脱線千一夜 第179話>
前へ戻る メニュー 次へ進む