例外のない規則はないにも例外がある

 

 大昔のことだが、先生が学生の頃、仲間と三つ峠山に登り、帰りに河口湖の駅から電車に乗る切符を買った時に、変な事があった。

先生の家は池袋だから、河口湖から大月、新宿、そして池袋の順になる。

友達に赤羽まで帰る者がいた。赤羽は池袋よりも三つ先になる。だから当然、赤羽迄の方が池袋迄よりも電車賃は高いわけだ。よくても同じというわけだな。

所が、そうだ、そっちの方が安い。仮に河口湖〜池袋が260円なら河口湖〜赤羽は240円てなもんだ。

これは、東京の山手環状線内は一律して東京駅までの運賃と同じにするという規則があるので、そんなおかしな事が起きてしまったんだ。

でもその時は狐につままれたような変な気がしたけど、ちゃんと、高い池袋行きの切符を買ったんだがバカなことをした。

安い赤羽行きの切符を買って、池袋で途中下車すりゃよかった。確か、20円くらい余計に払ったと思うが、残念至極だ。(笑声)

たとえ20円だって、それから複利に回転させれば、今になった見りゃ、何百円になってんだろう。惜しいことした。(笑声)

 

 所で、先日、新聞に出ていたんだが、大宮〜新津の料金が新幹線を使う時に、切符の買い方によって高くなったり安くなったりするとあった。

緑の窓口で買うと5250円、自動販売機で新潟迄買って、それから乗り越して新津で精算したら5570円と差が出る。320円足りない。

とにかく切符は目的地まで買うことが大前提ですからと駅の方で説明しても、お客は引き下がらない。アーダコーダナンダカンダとゴタクを並べる。みんななんかの得意中の得意だな。(笑声)

中には、オレそんな金ねえよって、ヤクザみたいに開き直る奴もいる。こんな風におかしな目してな。(笑声)

これじゃ仕事にならないって訳で、駅から管理局に苦情が行く。そうすると管理局から、あんまり客がうるさいようなら、次の時には間違えないで下さいって見逃してしまえって指示が来た。

つまり規則では320円貰うんだが、どうしようもないのはどうしようもない。(笑声) 例外のない規則はないと言うことになった。

でも、これが徹底しなかったので混乱に拍車をかけた。

ある駅では、客が文句を言わなくても、あっさりと通してしまう。規則通りに高いお金を払ったお客には、そのお金を返してやる。(笑声)

ある駅では、この、管理局からの通達を聞いてない駅員とお客の間に、怒鳴り合いの喧嘩が始まる。(笑声)

ま、こんな風に、学校と違って一般社会では、1足す1が2にならない場合が間々ある。

つまり、例外のない規則はないにも、例外があるってわけだ。(笑声) 

 

<脱線千一夜 第91話>


前へ戻る
メニュー
次へ進む