桃の節句

 

 今日は三月三日で桃の節句だね。

昔の人は奇数を縁起が善いと考えていたらしく、一月一日は年の初めの元旦、五月五日は端午の節句、七月七日は七夕祭り、九月九日はと言うと、あれ、知ってた者いたね。

その通り重陽の節句だ。まあ、菊の節句だな。

これは「雨月物語」と言う幽霊の話の中に出て来るんで、それで知ったのだろう。やはりそうだね。

十一月十一日は日本人だけじゃなくって、世界中の人間全体に関係のある日だ。

知らざあ言って聞かせやしょう。世界平和記念日だ。

でも、世界中あっちこっちで、ドンドンパチパチやってて、対人地雷は毎日のように爆発してるんだから、世界平和記念日が泣くね。

 

 所で、今朝先生が家を出る時カレンダーを見たら、この三月三日の桃の節句と言うのが書いてない。

アレマと思ったら別の事が書いてある。

お雛様とは関係無い事だ。

誰か知ってるかな。

おや、手が上がったな。

何だね、そうだ。三月三日だから、ミミの日だ。(笑声)

あ、そう言えば君のお父さんは耳鼻科のお医者さんだったな。

こりゃ後継ぎは当然知ってる訳だ。恐れ入りやした。(笑声)

同じようなのがあるね。六月四日はムとシだから虫歯予防デー、十月十日は

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となって、首を横にして見ると、眉毛と目玉だから目の日、(笑声)

何だか医者の宣伝みたいだが、まあ、健康が第一だからな。

 

 所で話は全然変わるけれど、セクハラって言う言葉を聞く事がある。

セックス・ハラスメントの略で、男女の差別の事だよな。

会社なんかで係長や主任なんかが、若くて美人の女の子に声かけてデイトに誘う。

美人がいなけりゃ普通の子で満足する。(笑声)

その時に肘鉄砲されてお断り食らい腹が立つと、さぁ大変、可愛サ余って憎サが百倍って言うが、難しい仕事を沢山持って来て、こんなのが出来ねえのか、間違いばっかりだなんていじめたりする。

そうかと思うと、あの女は大蔵省の役人らしい奴と一緒に銀座歩いてた、あの調子じゃぁ援助交際だ。(笑声) なんて、ありもしない噂を、まことしやかに触れ回ったりして、その職場から追い出してしまう。

これで裁判になった事もあるそうだ。

反対に男が女にいじめられるという場合もあるらしいぞ。

俺は学年で一番ハンサムだなんて自惚れている奴は、注意した方がいいぞ。(笑声)

 

 とにかく、なんとなく日本には男尊女卑の傾向が残っている。それがこのセクハラの原因だって考えてる連中がいて、学校の出席簿の番号は、今は男が先で女が後だが、これはおかしいとおかしな事を言い出す。(笑声)

女性差別だ。男女通してアイウエオ順の通し番号にしろなんて、訳が分からないこといってる連中があるが、男女一緒に勉強する国語や数学ならとにかく、技術家庭や体育なんかじゃ、出席簿や成績の整理が、面倒でしょうが無いな。

 

 まあ、こんなつまらない出席簿の番号なんかに、男女同権を主張している者のある一方で、先生が昔から不思議でならなかったのは、男の子のお祭りの端午の節句は子供の日として国民の祝日、一方、女の子のお祭りの桃の節句は呆れた事にカレンダーからも外し無視しているなんてけしからん話だ。

五月五日を男の子の日、三月三日を女の子の日にして両方とも国民の祝日にするのが当然じゃないか。

先生は日本人の女の子全員に代わって怒っているんだよ。(笑声)

これは出席簿の順番どころじゃない。何しろ休みが一日増えるんだからな。(笑声)

出席簿で騒いでいる婦人団体なんか、まず、これをやらなきゃ駄目だ。

今の祝祭日は敗戦後アメリカが作ったもんだから、子供の日なんて一日ありゃ十分だ。アメリカだってそうなんだから。といった按配で何にも知らずに女性解放に逆行するような事やったんだろう。

とにかく、三月三日は祝日にするべきだ。

 

 日本人は働き過ぎなんて外国から文句を言われてるんだから、ついでに七月七日も休みにするかな。

織姫と彦星にあやかって、恋人の日とでもしてサ。(笑声)

 

<脱線千一夜 第55話>

 


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