ジングルベルとなまはげ

 

 史上最悪の不況という酷さだけど、町はジングルベルのメロデイに乗って、クリスマス歳末商戦たけなわだな。

所で、先生が子供の時には、クリスマス・プレゼントなんて物はなかった。

キリスト教やイスラム教の国の人が、花祭りでお釈迦様の人形に甘茶をかけたりしてたら、なんておかしなもんだと思うだろう。(笑声)

それと同じで、遠い異国の習慣って言うか言い伝えって言うか、イエス・キリストの誕生日のクリスマスの前夜に、北の国からトナカイが引いたそりに乗ってサンタクロースのお爺さんが、空を飛んでやって来る。先頭のトナカイの鼻はヘッドライトになってて、赤く光っているそうだ。(笑声)

ここからが大事なんだが、このサンタクロースのお爺さんは、お父さんやお母さんの言うことをよく聞く良い子の家の煙突から入って来て、その子の靴下にいっぱいお菓子を入れておいてくれるとの事だ。

イジメッコだとか、先生の言うこと聞かない子や宿題忘れる子は貰えない。(笑声) 丁度、日本のなまはげの逆バージョンだな。

 

 なまはげは大晦日の晩に、おっかねえ鬼が子供のいる家にやって来て「スグナグゴワイネガ、オヤノイウゴドキカネエワルイガキワイネガ」なんて脅かす。

だから、ふだん言うこと聞かない子供に、なまはげが来たら食わっしゃうぞって言うと、子供がビックリして言うこと聞くって寸法だ。

ある程度、年食うと「何だ、あんなの。米屋の○○さんと酒屋の××さんが化けてたんじゃねえか」なんて分かっても、その時の怖さが頭の中に叩っ込まれて、悪いことはしないようになる。

つまり、心理学で言う「刷り込み」って奴だろうな。だからあの「なまはげ」の習慣は、まんざら捨てたもんじゃない。

 

 日本だけじゃ、もったいない。世界中に広めた方がいい。

□□□なんかで「オトナニナッタラガイコクイッテヒトサライスルヤツワイネガ」なんてやっときゃよかったんだ。もう遅いか。(笑声)

 

<脱線千一夜 第140話>


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