関東大震災とブラジル移民と工事狂国日本

 

 日本人は明治の頃からブラジル、ペルーとか南米に移民として行ってることは有名だな。

尤も、始めの頃は奴隷解放の頃だったんで、今迄使ってた黒人奴隷がいなくなって困ってた所に、丁度日本人がやって来た。だから、これ幸いと奴隷がわりにこき使われた。(笑声)

そんなわけで、ひどい目にあった者も多かったらしいが、だんだんと正式な外交機関が出来、働けばそれなりの収入が得られるようになって、安定した生活が送れるようになった。

コーヒーを入れる袋を縫うジュート、まあ、麻のような物なんだろうが、こいつが現地じゃ出来なかったのを、研究し生産出来るようにして、莫大な金をかけて輸入しなくて済むと言った事もやり、現地の経済に貢献したこともあったらしい。

 

 所でこの頃、日本で大災害があった。そうだな。関東大震災だ。大正13年9月沒のことだ。

え? 先生が何年生の時だって?(笑声) 残念ながら、まだ生まれてなかったよ。

よくあるんだよな。先生なんてのは縄文時代から生きてたなんて思ってる奴が。(笑声)

こないだ、どっかで、前の戦争の時にはなんて話したら、その戦争って日清戦争かそれとも日露戦争かって聞いた奴いたよ。(笑声) 応仁の乱だよって言っときゃよかった。(笑声)

 

 所で、この関東大震災の時は丁度世界は平和で、今みたいなドンパチ騒ぎはやって無かった。

そこに、死者行方不明者計14万人と言う大天災だから、日本の国内で、援助物資や義援金集めがあっただけでなく、世界中の国々が日本に同情してくれて、沢山の物資やお金が送られてきた。

そこで、日本をはるか離れた南米でも、我らの故郷を見殺しに出来ないと、沢山のお金が集まった。

所で、これを日本に送ろうとしたら、さっそく横槍が出た。領事館、つまり役人の方からだ。

今、東京には大震災で何にもない。みんな燃えてしまったのだ。そんな所にお金を送っても、物が無けりゃ買えない。だから、物資を送るべきだ。これについては領事館の我々に一任して貰うと言われてしまった。

今と違って、官尊民卑、一般民衆と役人じゃ、どうしようもない。へーってなもんで、領事館にお任せと言うことになったそうだ。そこで役人達はその金で毛布かなんか買ったらしい。

 

 そうしてはるばると南米から大西洋、インド洋と地球を半回り以上して日本へ、その頃の貨物船は随分と遅い上にあっちの港、こっちの国と泊まり泊まりして行くから、何月もかかったろう。

結局この毛布はとんでもない時期はずれに横浜について、引き取り手もないままに腐らしてしまったと言うことだ。

電報為替なんてのを使えば、即座にそのお金は日本に着いて、被災者に必要な物の購入に役立ったと思うが、何でこんなヘマをやったのかな。

え? そうだな。賄賂。横領。そんなもんだろうな。

昔から言われる。「役人の 子はニギニギを よく覚え」ってな。

つまり領事館の役人が移民達の善意の結晶であるお金を、そのまま送ったんじゃインチキ出来ないから、毛布を買う時に相当にくすねたのだろう。

そうして、それがとんでもない時に日本に着いて、移民達の善意が無になったからって言っても、誰も責任をとろうとはしなかったんだ。

 

 こんな事は今でも続いている。「道路」だとか「ダム」なんかがそうだ。

道路にしても、ダムにしても道路やダムが必要なんじゃないんだ。道路工事やダム工事の金が欲しいんだな。

だから、前に一度造ると約束したのだから絶対に造るべきだなんて騒いでる。つまり

♪金クレヨ。腹ヘッタ♪

なんて「ペルシャの市場」の中の「乞食の合唱」みたいなもんだ。(笑声)

 

 所で、先生はと言うと、ダムはとにかくとして、道路工事は賛成だ。

別に先生は「ペルシャの市場の中の乞食」じゃない。それなのに何故賛成かというとな。今の日本の道路工事の費用は諸外国に比べると物凄く高い。4倍から5倍もかかるらしい。

こんなバカな話ってあるもんか。丁度関東大震災の時の南米移民からの援助見たいなもんだ。みんな途中で役人や業者に食い物にされちゃって消えちゃう。

出来たのは併行する国道があって誰も乗らない北海道の高速道、バカ高くて観光用以外は敬遠してしまう東京湾横断道、まずは1つ造りゃ済むのに3つも造って世界中に日本のバカさ加減を宣伝した瀬戸内海横断橋。

 

 そうして赤字を垂れ流して日本の国の借金は篦棒に大きくなって行く。

民間の会社ならしくじった者が責任をとるんだが、国の仕事になると、誰も責任をとらない。

自分の見通しが甘かった事を謝って、財産を寄付するといった殊勝な政治家や役人なんか、薬にしたくたっていたもんじゃない。

先生は道路を造るのは反対しないが、金をかけるのは反対。外国並みの値段で作るなら、みんな黒字道路になって結構な話だ。

あんまりひどいってので、今回いくらか安く造ることにしたらしいが、それでも、「ペルシャの市場」の乞食ならぬ、永田町のセイジ屋と奴さん達の仲間に税金を盗まれることには変わりはない。

 

 とにかく、大学を卒業してないのに、卒業したと言うウソをついてる奴が何人もいるという社会だ。

奴さん達の中に、自分の党じゃないからってんで「ウソは泥棒の始まり」なんて悪口を言った奴がいたが、そいつも似たようなもんだろうよ。

「セイジ屋は ウソと泥棒の 行き止まり」か。随分と下手くそな川柳だな。(笑声)

 

<脱線千一夜 第167話>


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