敵の敵は味方か?

 

 味方を(+)、敵を(−)と考えると、

味方の味方は(+)X(+)→(+)だから味方

味方の敵は(+)X(−)→(−)だから敵

敵の味方は(−)X(+)→(−)だから敵

敵の敵は(−)X(−)→(+)だから味方

となって、とても簡単な論理式で表すことが出来るな。でも世の中、1+1=2になることばかりある訳じゃない。理屈通りにゃ行かないことが多い。

日本、韓国、北朝鮮がこのいい例だ。

 

 前にも言ったように、日本が負けた後、以前のように強い国にならないようにと、アメリカは南朝鮮の韓国に反日の李承晩政権を作った。

李承晩政権は日本海に勝手な線を引いて、ここから北は韓国が資源を保護してる領域だから、勝手に入って来てはいけないと宣言した。

こんな事は国際法上意味がないのだが、本気になって巡視艇で日本の漁船を捕まえて韓国の港に連行し、船も船員も帰さない。何年間もだ。

そうして、日本が植民地にしていた弁償だと大金を吹っかける。

とにかく日本は戦争に負けてるんだから、どうしようもない。アメリカだって自分の損得に関すりゃ、おおいばりで出しゃばってくるが、そうでなけりゃ、すっぽりっぱなしだ。

 

 所が、北朝鮮は韓国と戦争して一時休戦状態。38度線をはさんで睨み合っている。

つまり敵の敵は味方と言う考えで、日本の敵の韓国の敵の北朝鮮は味方だという考えに囚われてしまった者が大勢居たんだなあ。そんな単純な考えで北朝鮮びいきになってしまったんだ。

前に言った大江健三郎を始め、大勢の進歩的文化人と言われる連中が、これに引っ掛かって仕舞ったんだ。

 

 寺尾五郎という作家もその一人で、盛んに北朝鮮礼賛をやった。

むこうじゃ、いい塩梅にお先棒担いでくれてる奴だから、いいとこを見せてやろうと、北朝鮮に呼んで、いかにも「素晴らしく見える、ショーウインドーのような施設」を見学させた。

その時に列車の中で騒ぎがあったらしい。彼の本を読んで北朝鮮は地上の楽園だと信じ、日本から帰国した朝鮮人青年達に襲われたんだ。

「オメーの本読んで信用して来たら、このザマで、ここは楽園どころか地獄だ。帰りたくたって帰しちゃクレねえ。どーしてくれる」

幸い、警官が来て助けられたんで良かったけど、危なく、殴り殺されるとこだったらしい。

え? その朝鮮人の青年達はどうなったかって? 捕まって強制収容所行きだったそうだ。恐らくもう生きちゃ居ないだろう。

 

 例の日本の最高の美女といわれた「吉永小百合」が初主演した映画「キューポラのある町」なんかもそうで、吉永小百合演じる主人公「ジュン」の親友の朝鮮人少女が、家族と一緒に地上の理想郷「北朝鮮」に大勢の仲間と帰っていくシーンなんかもあった。

それから、何回も手紙が来るが、向こうじゃ、学校は勿論のこと、病院は一切無料、本当の所は機械もないし薬もないらしい。一般庶民向けのはな。

日本にいたときは仕事が嫌いで、嫌々(いやいや)やってたお父さんが、北に帰ってからは見違えたように真面目になった。朝早くから夜遅くまで「金日成首領様」の為に働けるのが、嬉しくてならないんだそうだ。(笑声)

 

 こないだ、この映画についての批評をインターネットで読んでいたら、傑作な話があった。

あの映画は「在日朝鮮人を騙(だま)して地獄の北朝鮮に拉致するホラー映画」だなんて書いてあったよ。(笑声)

吉永小百合の初主演映画がホラー映画だったなんて、今の今迄知らなかった。(笑声)

 

<脱線千一夜 第168話>


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