錫と砂糖と石油

 

 中国に無錫という名前の都市がある。

この無錫はその名前とは反対で、昔、沢山の錫が取れた所だという。

錫が沢山取れたのに、無錫とは変な名前だと思うだろうが、かつての権力者が民衆を奴隷のようにして、この錫の鉱山でこき使った。

そこで、こりゃかなわねえ、錫なんか出るから、こんな酷い目に合うんだ、錫さえ無けりゃ、こんな目に遭わされずに済んだのにという願いを込めて「無錫」という名が付いたなんて事を、先生は子供の時に何か本で読んだことがある。

 

 日本でも西南諸島の砂糖がこれに当たるようだな。

今の鹿児島県、昔の薩摩藩は関ヶ原の決戦の時に石田三成側についたので、徳川政権からすりゃ敵だ。領土こそ減らされなかったが、何かにつけ虐められ、お金を取り上げられる。

丁度、今の敗戦国日本が、何かにつけ戦勝国アメリカに虐められて、大金をふんだくられるのと同じだ。

だから薩摩藩の侍というと貧乏人の代名詞だった。

所が調所笑左衛門という可笑しな名前だが、やることはもの凄い男が、商人達を呼んで藩の借金を殆どチャラにしてしまう。

商人達が怒ると「そんなに腹が立つなら、この俺を煮てでも焼いてでも勝手にしろ」と部屋にひっくり返り、畳をひっぱたいてワルガキみたいに悪たれる。(笑声)

それから江戸から離れ幕府の目が届かないのをいいことに、じゃんじゃんと密貿易をして稼ぐ。それもどうやら偽札を使ってやったらしい。(笑声)

 

 また南西諸島での砂糖の栽培を、藩の直轄にしてしまった。

今だからスーパーなんかの目玉商品なんかになって、珍しくも何ともないけど、日本では砂糖の採れるところは限られている。

戦争中に、まず配給制になったのは砂糖とマッチだ。マッチは爆弾の材料を使うからな。砂糖の方はそのうちに、何年間も口に入らなくなった。

江戸時代の始めだが、時の日本の最高権力者の徳川家康が、黒砂糖の塊を貰って、飛び上がるように喜んだと言うけど、その気持ちは良く分かる。(笑声)

といった風に砂糖は貴重品で、調味料というよりも薬として扱われていた。

この砂糖は暑い西南諸島の特産品だから、薩摩藩は島民に奴隷労働をさせ、じゃんじゃんと生産させて大阪などで売って大儲けしたらしい。

そのようにして貧乏な薩摩藩は裕福になり、明治維新の原動力になったと言っていいだろう。大久保利通にしろ西郷隆盛にしろ、この調所笑左衛門の経済改革があったから、活躍出来たんだな。

でも奴隷労働をさせられていた島民達は、自分達が作った砂糖を自分達は使えない。徹底的に管理され、少しでもインチキすると酷い目に遭わされてたそうだ。

だから、俺達はなんでこんな砂糖が出来る島なんかに産まれてきたんだろうかって悔やんだろうな。

 

 所で、今現在、世界のごく一部に埋蔵されてる石油は、地球温暖化の元凶とされてはいても、安く手にはいるという点から依然として燃料に使われている。

そうして、知っての通りそれをめぐって、取り合いの大喧嘩をやっている。そうして、産油国の民衆は戦争に次ぐ戦争で、ヒドイ目に遭っている。

これには、メジャーといわれる国際石油資本がその陰にいる。

アメリカはソ連が瓦解してしまったので、世界一の強国と威張っているが、どうやらこの国際石油資本に乗っ取られてる、つまりハイジャックされてるような感じだ。

 

 この国際石油資本にハイジャックされたアメリカが、イスラエルを援助してることが大きな原因で911テロをやられたのに、オサマビンラディンが悪者だと話をすり替える。

彼を捕まえると言ってアフガニスタンを侵略したら、占領が目的なんだから、オサマビンラディンのことなど、忘れてしまっている。

イラクの侵略もフセインがどうのこうのじゃなくって、石油が目的だな。

又、自分達の都合で大統領選挙にごまかしをやり、国際石油資本の操り人形のブッシュを大統領にした。

ブッシュはそもそも人形なんだな。だからデモ隊に石油かけられて焼かれてるんだ。(笑声)

 

<脱線千一夜 第172話>


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